「尖閣」列島(井上清著)、出版社第三書館の欺瞞性を暴く

 読売新聞広告欄に「尖閣」列島、井上清(京大教授)第三書館出版、というのがあり、「中国領」と林子平が1785年刊「三国通覧図説」で明示、更に日清戦争中に尖閣をとり、日清戦争後に台湾をとったが・・とある。いかにも権威ある京都大学の教授が学問的にきちんと研究した成果の如き印象を与え、また林子平という江戸時代の偉い学者が「三国通覧図説」というこれも非常に権威のある図書の中に明確に示されているような印象を与えている。また一般に民間人による主張は領土権の証拠にはならないにも関わらず、いかにも権威ある如くに見せかけている。
 だが実態はどうか?Wikipediaなどによって調べてみると、林子平は「寛政の三奇人」と呼ばれた人で特別に偉い人でも、深く研究に没頭した人でもなんでもない。そして「三国通覧図説」も正確ではなく、本州、四国、九州以外はかなりいい加減なものであると記されている。 次に井上清(京大教授)という人は中国の文化大革命や全共闘の活動を支持し、この立場から日本共産党を批判したため一九六七年に日本共産党を除名された。が晩年は赤旗に記載される共産党支持者リストに名を連ねている。文化大革命が何であったか、この中で何千万人の中国人が中国共産党によって殺されたか、今では知らない人はいないだろう。また全共闘という組織が最後にはどういう行動をとったか(そして今も活動が続いている)知らない人はいない。この著者の発想は戦後間もない時期に、スターリンの指導のもとに共産党が目指した世界暴力革命、コミンテルン、の発想であり、日本国民が幸福になる発想ではない。
 著者の井上氏は「もともと中国の歴史はあまり勉強しておらず、まして中国の歴史地理を研究したことは一度もない私が、沖縄の友人や京都大学人文科学研究所の友人諸君の援助を受けて一か月余りで書き上げた」と自ら内容がいい加減であることを述べている。上記の本はこのような人物によって書かれたものであり、事実がどうかというよりも、強く政治性に富んだ意図によって記述されているものと判断して間違いない。
 国際法学者、国士舘大学名誉教授であった奥原敏夫氏は「清国官製の台湾地誌に清国台湾府の北限が基隆までと記載されていることから井上説をきっぱり否定した。また「使琉球録」に琉球国王から派遣された人たちが清国の使いを水先案内したと記載されていることから中国側が尖閣諸島の発見者であることを否定している。
 日本が「日清戦争中にとった」と言えばいかにも、軍国主義の日本が軍事力で奪った如きの印象を与えるが、韓国が竹島について「日露戦争中にとった」という主張と同じで、読む人に日本軍国主義と重ねてイメージさせるような意図的で悪質な記述である。何故、たまたま日清、日露戦争中に行われたかと言えば、当時日本列島の四周に欧米列強諸国が押しかけてきている状態の中で国境を明確にする必要があったからであり、軍国主義とは関係がない。むしろ欧米列強の植民地にされることから必死に自国を守る行動であったという方が当たっているだろう。また各々日清、日露の戦争中なのであり、中国も李氏朝鮮も日本と対等に主張できる立場にあった時である。むしろ歴史上の本質的な問題を言うとするなら「この時中国、朝鮮は何をしていたのか、両国は欧米諸国による植民地化が進む中でどのようにこれをはねのけようとする行動をとったか、またそのためにアジアに対していかなる貢献をしたか?」ということである。尖閣諸島に関する事実は日本政府が一八八五年沖縄県当局等を通じて尖閣諸島の現地調査を幾度も行い、無人島であるだけでなく、清国を含むいずれの国にも属していない土地(無主地)であることを慎重に確認し、一八九五年一月一四日に閣議決定を行い日本の領土に編入したもので、一連の手続きは国際法に合致するものである。
 出版社である第三書館の代表取締役北川明は元日本赤軍の構成員であり、赤軍と言えば連合赤軍による凄惨なリンチ総括殺人、北朝鮮へ渡った日航機ハイジャック事件、浅間山荘事件などを思い起こさせるが、著者の井上清氏の旧友である。この図書の出版は全共闘運動を支持した著者を支持する政治的意図の強いものであろう。井上氏は中国社会科学院から名誉博士号を授与され、二〇一〇年中国外交部記者会見において、姜報道官は尖閣諸島問題に関しては「日本の井上清の『尖閣列島』を読むべき」との発言をしている。事実と異なることがはっきりしているこの本を何故今また出版なのか?全共闘と中国の関係は??そして出版社と中国の関係は?? いずれにしてもこの本の内容は思想的背景に左右された事実と異なる記述であると私は考える。 

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